記者レビュー
異なる色をまとったヒーロー集団が活躍する「スーパー戦隊シリーズ」は、今年で50周年を迎えた。記念作品「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」(朝日系、日曜朝9時30分)の放送が始まっている。「50」と「獣」をかけた王道のモチーフで、節目の記念作にふさわしい正統派の作品になるかと思いきや……。
2日放送の第3話。ゴジュウウルフが戦った相手は、ドンモモタロウ。「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」(2022~23年)に登場したヒーローだ。
特撮シリーズモノで過去作のヒーローが登場する際は、現主人公のピンチに駆けつけ、力を貸すと相場が決まっている。しかし今作は、「お約束」をかなぐり捨てる。
ドンモモタロウに変身するのは、過去作とは違う「支持率5000%超」の総理大臣。集めると願いがかなう「指輪」を奪い合うべく、戦いを繰り広げる。いつものごとく怪人が市井の人を巻き込み、主人公たちが敵を打ち負かす展開も並行する。
ハイテンションで詰め込みすぎ。ついていくのは大変だ。しかしお約束破りの物語は「どのヒーローがナンバーワンか」という、子どもなら一度は抱く疑問に向き合っている。50年の歴史を生かしつつ、そこに安住しないという意志は伝わる。配信はTELASAなど。